| [ エッセイ ] |
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《その5》では、時間に関する考察を展開したのですが、表現力の未熟さなのか、かなり身近の人にも真意が伝わりにくかったようです。とほほ、な心境になろうとも、そう簡単にめげるわけにいきません。あきらめの悪さも場合によってはそうとう必要です。もう少し具体例を挙げようかと思ってしまいました。オフコースというグループがありまして、♪逃すな~チャンスを~ 今このときが~ そのときかもしれない~ という曲がありました。やや極端な話と思われるかもしれませんが、習得のチャンスということでは一期一会/オンリーワンが武術の世界では少なからずあると思います。また、その機会を逃すと一生そのまんまになりかねないこともおそらく事実だと思います。
いくつものケースを見聞したことがありますが、時期的なことですが、原則的には一刻も早く習得に向かったほうがいいと思います。本来、武術を始めるのに手遅れということはありませんが、とにかくできるならば手を染めておくことが肝要だと思います。たしかに仕事や学業、ほかの趣味や家族の介護など日常生活の中で時間の調整は楽ではありません。もうちょっと余裕ができれば、チャレンジしてみようか………しかしながら考え方をすこし変えてみるとどうでしょうか。この先のことはもちろんわかりませんが、今より状況がよくなるとは限らない、という認識です。かく言う当方、異常に前向きな人間ですので、未来を悲観しているわけではありません。一歩さらに踏み込んで現状をも肯定的にみているのです。今こそ好機! との気概は武術に限らず持つに限ります。といっても無謀であれ、ということではありません。
もうひとつ、「武術をやってみたい」というモチベーションや感情の盛り上がりもあります。大きな買い物をするときは単に予算やお金の都合だけではなくタイミングや勢いが不可欠だったという感覚をお持ちになった人もいると思います。「欲しいと思ったときが買いどき」などという言葉もあります。後に回すと、それっきりになってしまうかもしれません。鉄は熱いうちに、恋もお暑いときに、です。まさにワンチャンス的な時期が誰にでもありえると思います。武術はお金で買えるかどうかは別の問題ですが。
やや趣をかえてみまして、キャリア的に考えてみますか。若い人にはピンと来ないでしょうから、あらかじめ頭に叩き込んでおいたほうがいいと思います。ライフイベントが原則的に誰にもあります。望もうが拒否しようが、残念ながらやってくる行事です。比較的に近めの大きなイベントとしては、各種学校の入学/卒業から始まって、就職と結婚、子どもの誕生くらいがありましょうか。いずれも重要ですが、武術の学習ということから観ればどれもてごわい関門となりえるものばかりです。しかも後に控えたものほど強力なボスキャラです。ここで自己開示をしておきます。個人的に実際に言われたことがありました。
「身を固める前に、武術についてはメドがついてよかったですねえ」
某合気武術師範の奥様より賜ったお言葉だったのですが、ご自身の経験を振り返ってか、しみじみとおっしゃってたのが印象的でした。「芸のためなら女房も泣かす」とは歌の文句ですが、のめり込めば私生活やプライベートはもとより仕事にも支障をきたすのも事実です。日常生活に対する程度の問題ともいえますが、一度っきりの人生ですから思いっきりやるとなれば犠牲を払う場合もないとはいえません。「僕はこういうことをライフワークにしようと思ってんだ」と恋愛時代にはかっこよく思ってくれていた恋人も、結婚前と後で態度が豹変したという話もあります。理解ある伴侶も、時間が経てば理解度も下がると考えたほうがいいかもしれません。とにかく、ある程度のレベルまで駆け上がっておいたほうが周りからの引け目を感じなくて済む、のかもしれません。個人的な話ですが、いまさら中国に留学したいと所望してもどだいムリですねえ。行きたいとは思いますが、状況が許しません。今となってはあの頃に無理して行っといてよかったなあ、という感じです。心意倶楽部でも、松山に長期的に滞在した面々もいますが、彼らも同じかもしれません。多少のことは無理すればなんとかなるなら、大きなプロジェクトはとっとと始動させましょう。武術に限った話ではありません。
若いうちの苦労は買ってでも、と申しますが、齢をとればその苦労さえ買えない場合もあるのです。おっさんたちが若者をうらやむのはそのためです。世の経営者が会社や事業の展望では「中長期的視点で将来を見据えて」などといわれますが、個人でも持つべきです。意外と難しいんですねえ、これが。目前のことだけに突っ走るだけでは、人生しんどいかもしれません、というかスケールが小さくなってしまう恐れがあります。《その5》では、長い人生の一瞬一瞬の使い方が大事である、という趣旨を述べましたが、両輪としてタイムスパン長短両者の感覚を備えるのがよろしいのではないでしょうか。では、具体的にイメージできるかもしれない例を。今から10年後をイメージするには、今から10年前のことをじっくり思い出してください。その頃、10年後のことをどう考えていたか、何を狙っていたか。何を継続して実践してきたのか。その結果は現在、手元にあります。評価はご自分で下すしかありません。それを元に10年後を考えましょう。ブルーハーツが ♪未来はぼくらの手の中~ と叫ぶのは、そのことを訴えたかったから、かもしれません。さらに言えば、恐ろしいことに、そのターム/サイクルはお一人様につき、それほど多くは用意されていません。そう、貴殿が使える時間は有限なのです。また、年齢を重ねれば重ねるほど、時が経つのを速く感じるようになります。子どもの頃の1日と今の1日を比べてどうですか?
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