[ 戴式心意拳DVDガイド 兵器 ]
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少年の夢は死なない

映画の話です。世代の違いもありますので、銀幕の中国武術も影響を受けた作品や俳優が異なるでしょう。ジェット・リーではなく李連傑の「少林寺」世代の特徴かもしれませんが、中国武術に憧れを抱いた理由の一つは、その武器の多彩さです。棍刀槍剣の四大兵器を筆頭に、ずらっと立て掛けられて並んだ長兵器、使い方の検討もつかない妙な形をした武器に、長椅子・扇などのおよそ戦いに使えるのか? といった道具など。時代が少しあがって、ジャッキー・チェンの映画でも多く登場しました。コミカルな意外性に魅了された人も多かったのではないでしょうか。さらにあがれば、ブルース・リーのヌンチャクが外せないでしょう。

飛び道具や手の内に収める「暗器」系は、怪しささえ漂う楽しみがありました。科学的にあり得ないような設定であったり、扱うにはとてつもない特殊技能が必要になりそうな感じです。日本の忍者とは違う道具類は、少年誌の通信販売の広告に並び、微妙な値段と派手なキャッチが踊っていました。少年の胸をときめかせるには十分でした。

しかし、実際に武術を始めて、想い抱いた理想と現実とのギャップは練拳者ならば感じたことがあるかもしれません。残念ながら理想と現実が異なる場合は現実を優先しなければなりません。徒手がほとんど専門的になって、次第に武器のことは遠ざかってしまう、と。もう1つ追加すると、いい武器が入手できない、という大きな原因もあります。表演用の武器はすでに小道具といってもいいレベルです。比較的入手しやすいのは、棍くらいでしょうか。中国でも同様です。武術家であってもいいブツがなかなか手に入らないと悩んでいます。本編とは関係ないのですが、ここしばらくの中国武術の武器事情を少々。最新の情報とはとてもいえませんので、多少は割り引いて聞いてください。

棍については、「白榔棍」「白蝋棍」「白柳棍」といわれる中国の棍が日本国内でも入手できるようになりました。年を経つにつれて値段も下がってきました。門派によって長さや太さが違うと思いますので、確認して購入してみてはいかがでしょうか。棍の練習は本格的にできる時代が来たのはいいことです。心意倶楽部ではかなり初期から棍/鞭杆をやります。さしあたっては樫であってもいいのですが、ゆくゆくは中国の棍を手にしてもらっています。

刀については、中国においてすでに問題を抱えています。日本では美術品という名目で多くの銘刀がいい状態で流通していますが、中国では武術用の刀としては、どれも心許ない感がぬぐえません。中国内で売っているものは、やたら重い鉄製の粗悪品なので日本には輸入できませんし、表演用のはペラペラの鉄板です。これも磁石にくっつくので、輸入できません。えらく昔のことですが、日本と中国の貿易では日本の刀が主な輸出品だった時代がありました。漢詩に日本刀の詩があるくらいですから、珍重されていたのはまちがいありません。日本史の教科書にも出ています。「苗刀」のようにモロに長い日本刀が使えればいいのですが、みなさんご存知のように中国武術で用いる刀は日本にはありません。しかし、策がないわけではありません。詳細はここではお話しできませんが、日本刀にもいろいろな形状・長さのものがあります。興味がありましたら、リンクにあります『刀剣香文館』にお尋ねください。もしくは、心意倶楽部に連絡をいただいてもかまいません。門派は問いません。

槍に関しても、刀と同じです。表演用は作りが粗く、危険がないということぐらいしか特典がありません。と言いながら実は北京の瑠璃厰などの古物を扱うところで、実際に使用されたであろう本物は中国では実は入手できます。しかし、状態がよくありません。何点か入手しましたが、飾り物か歴史的資料の意味しかないように思います。中国の槍は、分類としては「袋槍」といわれるものです。日本の槍は刀のように「中子(なかご)」があり、目釘で止めるものが多いのですが、実は袋槍も希有ですが時々売られています。

剣は省略します。それ以外の武器ですが、実は中国のものが日本でかなり流通しています。しかも、実際に使用目的で作られた古いもの、がです。暗器と呼ばれるものなども、あったように記憶しています。骨董市などで武具の中に紛れ込んでいたのを見て驚いたものです。偶然かもしれませんが、けっこうな数だったと思います。なんらかのルートで日本に入ってきています。ただし、売っている人も何なのか、分かってないような感じでした。

補足ですが、武器の扱いについてはくれぐれもご注意ください。特に刃物は自他を危険にさらす可能性があります。くれぐれも我流やいい加減な指導のもとでは行わないでください。法的な規制も遵守してください。武術を嗜む者が関連法規も知らなかったでは、お笑い以下です。

# xinyi : May 13, 2005