| [ 戴式心意拳DVDガイド 概論・総論 ] |
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日本武術では身体論というか、体の動きの要素を取り出して、多くの分野に影響を与えています。本やテレビでも紹介されていますし、有名アスリートがトレーニングに採用していることも話題といえます。心意ではどうなのでしょうか。「ナンバ」にしても「○○の動き」などの、個々についてはそれぞれ検証しません。それらしき……はあるとは思いますが、特定の動きを取り出してみても、心意としてはあまり意味がありません。ただし、「動きの質」に関心が集まるのはいいことです。単に筋力や瞬発力・スピードの追求が必ずしも結果につながらないことに多くの人が気づいてきたようです。「力を抜いて力を出す」という武術の目的と一致します。発勁についても、寸勁が容易にできるようになるとか、そこだけを切り取って発表したり、講習をうったりする向きもあります(ただし、日本人しかやらないような気もします)。それらに関しては特に申し上げることもありません。もちろん否定もしません。
では、あこがれの的、中国武術の神秘ともいうべき「発勁」を心意では果たして、難なく会得できるのでしょうか。結論から言いますと、まったく無理です。それが簡単にできるのなら苦労はない、と苦笑いする人もいるはずです、しかも少なくない人数かもしれません。威力の出し方については心意のカリキュラムでは非常に難しいのです。どうしてでしょうか。
武術で獲得を目指すものには大きく分けると、威力と技術とに考えられます。心意ではその両輪は不可分なのです。言い換えると、心意の技法で威力を出すことが目標となります。身体の特定の動きで少し変わったことができても何の意味もありません。例えば、棒立ちの相手に触れた状態から寸勁を打つというパフォーマンスがありますが、まさに宴会芸どまりです。脱線気味で恐縮ですが、触れた状態から、というのは驚きの対象のようですが、実際は触れているか、ごく短い距離でないとできないのです。
心意に限らず、とは思いますが、上肢での攻撃の際、最も威力が出やすいのは、どこでしょうか。肩・肘・拳・指先などがありますが、実は拳や指先でなく、肩です。もちろん、技法の熟練が必要ですが、それでも他の箇所に比べれば簡単にできると思います。しかし、体当たりと同じではありません。ご注意ください。定義的な話で恐縮ですが、体当たりはもっぱら移動することによる推進力で威力を増大させます。それに対して心意の「膀法」などともいわれる肩打は、把式を用いて技法として威力を出します。また、肘は硬いので攻撃に向いていると思われますが、発勁を伴わせて、となると技術的に熟練が相当に必要です。拳や指先といった梢節は、肩での力みが抜きにくく、勁を出すのが難くなります。心意には直突きがない、という論がありましたが、これに通じる部分はあります。戴式では当然のように突きはありますが。
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